出雲国風土記・現代語訳:意宇郡

現代語訳

北は入海(いりうみ)。

門江浜(かどえ)。 〔伯耆と出雲との二国の堺である。以下東から西へを述べていく。〕

子島(こ)。 〔すべて磯(いそ)である。〕

粟島(あわ)。 〔椎(しい)・松・多年木・宇竹(うたけ)・真前などの草木がある。〕

砥神島(とかみ)。 周り三里一百八十歩。高さ六十丈ある。〔椎・松・萃・薺頭蒿・都波・師太などの草木がある。〕

賀茂島(かも)。 〔すべて磯(いそ)である。〕

羽島(は)。 〔椿(つばき)・比佐木(ひさき)・蕨(わらび)・薺頭蒿(おはぎ)がある。〕

塩楯嶋(しおたて)。 〔蓼螺子(たでにし)、永蓼(たで)がある。〕

野代海の中に蚊島(か)がある。周り六十歩ある。中央は黒土で、四方はみな磯だ。〔中央に一握りほどの木が一株あるだけである。その磯に螺子・海松(みる)がある。〕

ここから西の浜は、険しいところもあり、平旦なところもありて、通道(かよいぢ)はそのどちらも通過する。

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原文

北入海

門江濱 〔伯耆與出雲二國堺、自東行西。〕

子嶋 〔既礒。〕

粟嶋 〔有椎・松・多年木・宇竹・真前等草木。〕

砥神嶋 周三里一百八十歩。高六十丈。〔有椎・松・?・薺頭蒿・都波・師太等草木也。〕

賀茂嶋 〔既礒。〕

羽嶋 〔有椿・比佐木・多年木・蕨・薺頭蒿。〕

塩楯嶋 〔有蓼・螺子・永蓼。〕

野代海中蚊嶋 周六十歩。中央涅土。四方並礒。〔中央有手掬許木一株耳。其礒、有蚊、有螺子・海松。〕

自茲以西、濱。或峻崛。或平土。並是通道之所経也。

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